佐野大祐さんへのリレーインタビュー

株式会社ファイルフォックス八王子代表取締役 長尾 龍さんからのリレーインタビューは、アパレルブランドone8ty代表 佐野大祐さんです。

今回は新型コロナウィルスの影響のため、初のオンラインリレーインタビューとなりました。
私たちが生きているこの時代は、いろいろな意味で激動の時代であることをあらためて感じさせられます。顧みればそれは、恵まれ過ぎている故に起こっていることかも知れないし、恵まれ過ぎていることに鈍感であるが故に起こっていることなのかも知れません。

そんな中で佐野さんは、ずっと自然体で生きて来られた方のようです。
小学生の頃に“オバQのTシャツ”を着て、みんなの脚光を浴びてから目覚めたデザインへの夢。同じ頃に味わったサッカーへのあきらめなど、幼少期の入り混じった感情の中で、いつも佐野さんは好きなこと楽しいことに真剣に取り組んで来られました。

そんな佐野さんとお話ししていると、コロナ禍を経験しつつある私たちが取り戻したい“人間らしさや素直なこだわり”の大切さをあらためて感じさせられます。(聞き手:昆野)

 

――アパレルのデザインやサッカースクールの経営兼コーチなど、多才というか器用ですね?

佐野大祐さん: 元々、家の中にこもってやるのが得意なんです(笑)。

――サッカーはいつ頃始めたんですか?

佐野大祐さん: 幼稚園の頃です。

――それからずっとサッカー漬けという感じですか?

佐野大祐さん:それがですね(笑)。小4の頃に所属していたチームのコーチが、いい経験になるだろうと茨城県の強豪チームの練習に参加させてくれたんですが・・・、それが私の人生を大きく狂わせる出来事になってしまいました。
結局その時、私は相手チームの選手たちのプレーに圧倒されてしまい、サッカーの道をあきらめました(笑)。

――あきらめた?えらい早いですね(笑っていいのやら

佐野大祐さん: ええ、あまりにも力量の差が大き過ぎて、この人たちを超えてやろうとかプロになりたいとか、その時点でそういう想いは一切なくなりました。あっという間でしたね(笑)。

――見極めがいいというか、潔いというのか、あきらめが早いというのか・・・。

佐野大祐さん:もうムリだと思いましたから(二人大笑)。一応、中学ではサッカー部、大学でもフットサルを続けましたが、とにかく楽しむことをモットーにやっていました。

左から5人目のこっそり顔を覗かせているのが佐野さん

――そういう青春もアリじゃないですか!“そのまんま今に至る”といった感じですか(笑)?
どんなお子さんでしたか?

佐野大祐さん: 早々にプロサッカーの夢はあきらめてしまいましたが、一方で同じ頃に新たな夢が芽生え始めたというか、こんなことでこんなに嬉しいことがあるんだという事件が起こりました(笑)。

――面白そうですね!小4は佐野さんにとって激動の時代ですね。何があったんですか?

佐野大祐さん:オバQのTシャツを買ってもらったんですよ。

――オバQ?あのオバQですか?

佐野大祐さん:はい、あのオバQです。ある日両親と一緒にジーンズメイトに行った時に、オバQのTシャツを買ってもらい翌日学校に着て行ったんです。そうしたらみんなにビックリされたり褒められたりして、一躍私は人気者気分に舞い上がっていきました(笑)。
それから服が大好きになって、大学では経済学を専攻しつつもアパレルの会社に入り、諸々あって今に至っています。

――あきらめが早いと思ったら、有頂天になるのも一瞬でしたか(笑)!素直さが成せる技なのでしょうか・・・。アパレルの会社に入ってデザインをされたんですか?

佐野大祐さん:それがそうではなくて、ある時会社で好きなものをデザインしてつくっていいよと言われ、初めて自分でTシャツをデザインしてつくってみたら、それが自分でも納得できるものが出来上がって、うれしくてしょうがなかったんです。
さらにそれが売れた時には、鳥肌が立つというのか身体の中に衝撃が走って何とも言えない満足感に満たされました。
“自分でつくったものを売りたい!”そう強く思えた瞬間でした。

one8tyのオリジナルTシャツ・パンツ

one8tyのオリジナルジャケット

――今は独立されて、ほとんど一人で仕事をこなされているんですか?

佐野大祐さん: 人に頼るのが下手なんです(笑)。苦手な営業と製造は他に頼んでいますが。

――よっぽど好きじゃないとできないですよね。私の知人にも24時間365日アパレルの話をしていても飽きないという人がいます。

佐野大祐さん:私もそういうタイプかも知れません。ただ、今はコロナ禍でアパレル業界はとても厳しい状況で、特に店舗をもっているところはかなりダメージが大きいようです。

――これを機に、商売のやり方や消費のあり方が随分変化していくでしょうね。一方のサッカースクールはいつ頃から始めたんですか?

佐野大祐さん: 6年前くらいからで、以前他社が運営していたスクール事業を継承したんです。ただコロナ禍で3か月程前からスクールを休業していて、学生アルバイト5名がバイトできない状況が続いています。何とかしてあげたいのですがアルバイト料を捻出する余裕がありません。とても心苦しいです・・・。

――そうですか、そういうところにもシワ寄せが起きているんですね。スクールの会員数は?

佐野大祐さん:80名程です。

――多いですね!地域に根ざした人気スクールという感じですね。一般的にサッカークラブに入っている子はクラブの練習で鍛えられると思いますが、スクールに来る子はクラブに入っていない子が多いんですか?

佐野大祐さん: そうですね。うちのスクールは楽しくやろうという人たちの集まりなんです。放課後にゲームやったり家にいたりするよりも、スクールに来てみんなで楽しもうという考え方です。
上手な人はよりレベルの高いサッカークラブに入って目標目指して練習し活躍してもらえればいいし、サッカーを楽しみたい、友達と楽しみながらスポーツをしたい人はここに集まればいいと思っています。

――いいですね!その価値観は、小4の頃に佐野さんご自身が経験されたあきらめ?潔さ?が原点になっているのでしょうね(笑)。

佐野大祐さん:きっとそうだと思います(笑)。3歳~12歳までの子どもたちが集まっていて、幼児などは保護者の方と一緒に遊びに来ている子も多いです。

――6年間も続けていると、そろそろスクールの卒業生がコーチとして入って来る頃ではないでしょうか?

佐野大祐さん: 実は、それをスゴク楽しみにしているんです!あと2~3年すると、教え子たちが戻って来てくれると思います。

――それだけ多くの子どもたちと接していると、調布界隈で悪いことはできないですね(笑)。

佐野大祐さん:そりゃ、ムリですね(二人大笑)。

――楽しいですか?

佐野大祐さん:とても楽しいです。週1回の息抜きと言ったら申し訳ないんですが、子どもたちから湧いてくる“無邪気なパワー”をもらっています。

後列中央が佐野さん。笑ってます

――“無邪気なパワー”いいですね!これから何をしていきたいですか?

佐野大祐さん:サッカーをやっている人たちと手を組んで、選手自らがおカネを稼げるシステムを一緒に考えつくっていきたいと思っています。
スポーツ選手は自らのトレーニングや試合で結果を出すことを真っ先に求められますが、マイナースポーツではプロになっても生活が厳しい選手が少なくありません。
ですから現役のうちに稼げるシステムをつくれれば競技に集中でき、充実した選手生活を送ることができて、引退後も安心して暮らせるようになると思っています。

――先日インタビューさせていただいた窪田友樹さんの会社が、サッカーやフットサル選手を受け入れているように、子どもたちが夢みるアスリートの生活の受け皿を、みんなでつくっていくことは大切なことですね。

佐野大祐さん: 収入面が理由でスポーツを辞めた人の話も聞くので、何とか自分にもお手伝いできないかと思っています。

――面白いですね!根っからの商売好きなんですかね?佐野さんは。目の付けどころが違いますね、経済学部だからかな(二人大笑)。ビジネスの場合、デザインとは全く違う感性が必要になりますが、生まれもった臭覚があるんですかね?

佐野大祐さん:おカネのことは得意じゃないんですが、ビジネスのことはいつも考えています。経験が乏しいので、あくまでも感覚的にチャレンジしてみようと始めることが多いんです。

――私の場合、最初からサラリーマンに向いていないと思いつつも25年間やっていましたが、サラリーマンでありながら無鉄砲さ加減がサラリーマンではなかったから続いたのだと勝手に思っています。
多分、佐野さんは組織の中でご自分の能力を生かすというよりも、楽しく好きな仕事をやれる環境の中で能力を発揮し、少しずつ社会との歯車を噛み合わせていくタイプなんでしょうね。
このコロナ禍で、人間らしく生きる大切さに気づく人と、今まで以上に安定を求めようとする人と別れるのではないかと思いますが、初めに安定ありきでは楽しく生きることや自分を生きることから逸脱していきますね。

佐野大祐さん: そうかも知れません。インタビューにあたって、私は世の中の役に立っているのかどうかあらためて考えさせられました。正直言って現状では実感が湧かないし、これからどんなことをすればいいのか、なかなか見えてこないんですよね。

――何を言ってるんですか、子どもたちと接していること自体が社会貢献ですよ!

佐野大祐さん:ん?なるほど(画面の向こうで少し身を乗り出して)。

――大人の存在意義って、子どもたちにとってどうなのかが最も大事なことだと思うんです。それが今であっても、未来であっても。

佐野大祐さん: ああ、そう言ってもらえると嬉しいです!自分のこと、自分がやっていることって、客観的にわかりづらいですよね。そう言われて初めて、少し世の中の役に立っているんだと気づくことができました。
サッカースクールでやっていることは、子どもたちを楽しくサポートして、子どもたちに未来を託していくということなんですね!何かスッキリしました(笑)。
実は、コロナ禍でこのインタビューが延期になっている間、自分がやっていることの社会的な意義をずっと考えていたんです。でも何の役にも立っていないような気がしていて、だからこれから何をして役に立とうかということばかり考えていました。
救われた気がします(笑)。

――スクールを大切にしてください。アスリートの人生も一緒に切り拓いてください。
サラリーマンは自分の生き方を見失っている人が多く、マンネリ化する日々の中で屈折してしまうというか自己逃避というか、本来の自分から逸脱してしまっている人がとても多い。その意味では、アスリートは後先考えずに、一本道を真っ直ぐに走り続ける人が多いように思います。

佐野大祐さん:私、サラリーマン生活が短かったのでその感覚はよくわかりませんが、もっと自分を鼓舞して戦っていかないといけないと思ったりします。

――楽しく仕事をするのが一番でしょ!そのままでいいじゃないですか、いい顔してますよ(笑)。屈折していないですよね、サラリーマンはそんないい顔してないですから。

佐野大祐さん:アッハッハ(二人大笑)。

――アパレルは何年くらいで軌道に乗ったんですか?

佐野大祐さん: いやあ・・・3年くらいはひどかったです。学生アルバイトの子に、コンビニで廃棄された弁当とかもらって食べていましたから(笑)。

――それはスゴイ話ですね(笑)。何が契機に?

佐野大祐さん:地道に続けて来て、一歩ずつ階段を上ってきた感じです。

――自分の好きなことだから、コンビニの廃棄弁当を食べても続けて来れたんでしょうね。全く引け目を感じることではないですね、そういう生き方って素晴らしいじゃないですか。損得勘定とは違う、誰かや何かと比べることなく自分の価値観で生きる。いいですね!

佐野大祐さん: 変なプライドがないというか、それがいいのかどうかわかりませんが。周りから何を言われようが全然気にしない部分があるんですよね。

――世の男たちの多くが変なプライドをもっているから、今の世の中こんな状況になっているのでは。プライドが高いと思っている人たちのほとんどは、プライドが低いんじゃないですかね。つまらないことに意地を張ったり、争ったり、群れたがったり、孤立している人はいても一匹狼は見当たらない。
もうこれまでのような男社会はやめた方がいい。性別ではなく、女性性という性質が大きな社会変革をもたらすのではないかと感じます。
女性政治家のように男社会でのし上がっていこうとすると、いつしかオトコ顔になっちゃいますが(笑)

佐野大祐さん:怖いですね、まさにそうです(大笑)。必要なのは女性のやさしさ、しなやかさみたいなものでしょうか?

――そもそも地球の生物の変遷からすると、最初はメスしかいなかったらしく、その後オスが誕生して、どうやらメスの使い走りのようなことをやらされていたようです(二人大笑)。そういうふうにオトコを見ていると、妙に虚勢を張ったりつまらないことで喧嘩をしたりで滑稽に見えてしょうがない。確か、『生物と無生物のあいだ(福岡真一 著)』に書いてあったと思います。

佐野大祐さん:そう言われてみるとそうかも知れないですね(笑)。これまでビジネスで大成功している人は野心家というか男っぽい人が多いと思っていたので、私ももう少し野心をもたなければと言い聞かせようとしていました。
でも性格的にムリのようです(笑)。

――いやあ、佐野さんの生き方いいと思いますよ!みんな就職して安定した生活を求めるけど、そうではなくてみんながベンチャー企業を立ち上げて社会に役立つビジネスをした方がいいですね。そうやってそれぞれが主体となって、繋がり合って、次の世代の人たちにビジネスを通して少しでも心豊かな社会を受け継いでもらえるように生きる。

佐野大祐さん: そういう人たちと一緒に仕事をしたいですね!きっと楽しいし、きっといい仕事ができると思います。

――なかなかいないですけどね(笑)。みんな安定を求めて生きているから。コロナをきっかけにどっちに行くのか、みなさんやっぱり安定なんですかね?

佐野大祐さん:そういう気がします。でも安定した人生と充実した人生って違いますよね?安定の中に、人生の醍醐味ってあるんですかね?私はリスクがあっても、後悔しない生き方をしたいですね。

――そこが一番大事なことですね!佐野さんの場合多くの子どもたちと接しているので、つまらない大人でいられるはずがない、悪いことができるはずがない。そういう選択をして、自らそこに身を置いているのですから。

佐野大祐さん: そういうことですか・・・(笑)。私は大人の振る舞いはできないけれど、子どもたちと一緒に楽しむことはできます(笑)。

――それでいいじゃないですか!昔から楽しく生きることに少し罪悪感をもったり言い訳したり、楽しんでいる人がいると嫌みを言ったり非難したりする人が多かった。でも子どもたちは楽しい大人がいると嬉しいし安心できる。つまらない顔をした大人は、迷惑この上ないと思うんですよね。
佐野さんは指摘されたことはないですか?あいつ、楽しみ過ぎているとか(大笑)?

佐野大祐さん:かなり言われていると思います(二人大笑)。(少し嬉しくなってきました
身近な人たちや家族からも、変わり者とよく言われます。好きなことしかやらない、興味のあることしかやらないと結構言われています(笑)。いいのか悪いのか、よくわかりませんが・・・。

――いいに決まってるじゃないですか!みんなあきらめてるんですよ。好きなことをし続けることを、勝手なことをしていると勘違いしている。みんな、私は我慢しているのに、自分を犠牲にしているのにと勝手なことを言って、他人を非難したり誰かのせいにしたり。つまらない人生を選択しています(笑)。

佐野大祐さん: 誰のせいにもできないですよね、好きなことやっていると。全て自己責任でやっているので、わかりやすいですし。

――そういう生き方を大切にしてください。子どもたちに、そういう生き方を伝えてほしいです。

佐野大祐さん:ああ、そういうことなんですねー。わかってきたような気がします。
でも自分の子どもができたら変わってしまうのかなあ?

――気をつけてください(笑)。自分の子どもだけじゃなくて、全ての子どもたちにとって、子どもたちの未来にとって何がいいのかを選択しなくてはなりません。
そんな子どもたちに伝えたいことはなんですか?

佐野大祐さん: 夢にチャレンジして、失敗して、そしてまたチャレンジして、そうやって目標に向かって生きてほしいですね!
私自身この言葉を聞いた時、「私はこのままでいいんだ!」という心の叫びを聞き、共感の想いが湧きあがってきたことを憶えています。
キラキラした目の子どもたちが、大人になっても、ずっとキラキラした目の大人でいてほしいですね!

――それだけでワクワクした世の中になりますね!
お互い大人の小言はスルーして、子どもたちの天の声に耳を傾け生きていきましょう!そうやって私たちは浄化されていくのでしょう(笑)。今日は初のオンラインインタビューありがとうございました。

 

ある時期コンビニの廃棄弁当を食べていたというのは、スゴイですね。
何がそうさせて、佐野さんは生きていたのでしょう。
私には、佐野さん固有の確固とした価値観がそうさせていると思えてなりません。佐野さんご自身は、それを確固としたものとしてではなく、なんとなく性分として感じているだけなので、気負いなく、淡々と生きて来られたのではないのでしょうか。

言葉というのは決めつけてしまう性質を帯びています。
あの人は貧乏だと言えば、おカネがなくて困っていることを想像させ、おカネを欲しがっていると決めつける。あるいは社会的地位の高い人を偉い人という人がいますが、単に今そういう立場にいることと偉業を成した人との区別をせずに一緒くたな言い方をする。“佐賀のがばいばあちゃん”によれば、世の中には偉い人はいない。ただスゴイ人はいるぞということになります。

佐野さんのように自分を生きている方は、他と比べることなく、ご自分の感性を磨き続け表現することに専念されています。

そんな佐野大祐さんは、子どもたちが安心し大人たちが学ぶべき、”執着のないこだわり”の人でした。

 

■佐野大祐さんのプロフィール&メッセージ

1984年 東京都府中市出身
幼稚園からサッカーを始めるも小学生で挫折。その後サッカーを続けるもアパレルの道に目覚めFIVE FOXesに入社、2011年にone8tyを設立し独立。
現在はスポーツアパレルを中心にフットボールの発展を目指し活動中。

 

 

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