【なつかしい】②

Ch:なつかしいって言う状態は、簡単に言ってどういう状態ですか?

K:言葉で表現しながら言葉で言い表せない事を言うから、矛盾して聞こえるかもしれませんが、微笑んでしまう感覚ですよ。まず笑顔がでる。それは、そばで見ていても分かると思うんです。皆さんがこのワークを始めるときには、おそらくその時のパートナーの笑顔を見ることになると思います。つまり、顔が本当にゆるんでいくんです。しかも男だとか女だとかの枠が溶けていくような笑顔です。大人とか子供とかの、要するに今まで世の中で分類されてきたものがどんどん溶けていった時に、笑顔というものの存在そのものを見ることになると思うんですよ。それを言語で言えば、『平和』でしょう。

ところが、この平和っていうのは気をつけて使わないと、なにか波風がない状態が平和、もしくは戦争が終わった状態が平和、みんなが信じ合うことが平和っていう風に、平和っていう言葉はとても響きは心地いいんですが、ものすごく先入観の多いステレオタイプになりやすい言葉なんですね。まあ日本語で平和って言うと、漢字で書けば平らかに和むということです。この字面でも、なにか起伏のないような感じを受けます。でも、もっとよく思い出してみると平らかはフラット、平等だということです。そして和は、みんな同じフィールドに一緒にいるということなんです。

大好きなおじいちゃんが亡くなるとか、恋人と色んなストーリーで別れてしまうとか。それから、なにか計画していたことが頓挫する、たとえば試験に落ちるとか、そういう良くない出来事は自分の所に来ないでとチョイスする。でも、これはおかしいです。不平等ですよ。すべてのキャラクター、すべての出来事がこぞって集まってる場所が平和なんです。ところが普通は、そういうことがないような、柔らかい空気だけ自分の所においで、成功する出来事だけおいで、喜びだけおいでとチョイスするんですね。

僕はここに、しつけや教育のコンセプトやメソッドみたいなものを見ますね。気がついたら、しつけと教育の裏返しじゃないかっていう風になってるんです。だから、にじみ出てくるような笑顔そのものっていう状態にならない。これはイイ、これはダメとか、どうしてもチョイスする。あるものは排斥して、あるものはウェルカムしていく。この動きが、ずうっと続いているんです。男だ女だ、若者は、年配者はと分ける傾向が社会にはあります。若い人だけ集まれ、年配の人はこういうところがあるとか、男という者はとか、女ってとかね。何々だけ、何々はということで集まったり、そういう分け方でデータを集めてる。そこには、気配でいえば歪みが出ます。僕は、悲しみやら怒りやら思い入れやら切なさやら、それから至福の喜びやら全部が集まっている場所がこの世だったということを思い出した。なんていいんだろう。なんてにぎやかで、なんて静かなんだろうと。

まあ皆さんも経験あると思うけど、親たちが何か一生懸命に話をしている時に、相手のお子さん、もしくはあなたのお子さんが、
『ねえ聞いて、ママ。ほら聞いて、パパ。ちょっと聞いてよ』とか言うので、あなたは
『うん、今大事な話をしているから』
『でもさあ』と、子供。
『とにかく大事だから』って、なだめる。
『ねえ、聞いてよ』その子は食い下がる。やがて、そこら辺りをイタズラし始める。
親たちはどうにもならなくなって、
『なに』って言うと、実は、
『こうこう、こうだから』
『ヘエー、それはすごいね。そうなんだ』
ちゃんと子供の存在を認めるとその子は、
『遊んできていい?』
『いいよ。行っておいで』
これでスッキリして、次の展開に移るんです。

実は出来事もまったくこれと同じです。悲しい出来事も怒りを誘う出来事も、
『ねえ、ちょっと聞いてくれよ』という風にやって来る。ところが、
『怒りは来るな!悲しみは来るな!』と無視すると、出来事はその存在を認めてもらうまで必ずアピールします。それをどうやら皆さんは、マインドが騒がしいと言っている。マインドが騒がしいって言う時には、その騒がしいという言葉に代表されるように、ここは騒がしくて素敵だなとは日本では使わないでしょ。アメリカでもイギリスでもフランスでも使わない。なぜかというと、騒がしいのは良くないもんだと決めてかかっているからでしょう。騒がしいって、なにか否定的なもの、怒りとか悲しみとか裏切りとか、つらさとかね。でもね、その形容詞っていうか固定観念すらも一回耳を傾けてあげると、固定観念の方は、ああ、安心したという顔になって、
『ちょっと遊んでくるね』
という具合に、どこかへ行くんですね。そんな風に固定観念は溶けていきます。まるでそれは笑顔に似てますよ。そういうことですね。

Ch:【なつかしい】ということを続いていくと、人生で起こるすべてを包み込んでいけるというか、起こる事を起こるまま、あるがままっていう感じに聞こえるんですが。
~次回に続く~

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