時間の里山

ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ。一瞬にして人生を変えてしまった場所があります。この国の場所とは、この星の場所ということです。地球には、ビキニ環礁・スリーマイル島・チェルノブイリという場所もあります。人間のエゴによって濃くされてしまった時間とその場所は、元へ戻ろうとします。時間の本当の姿である、薄い時間へ淡い場所へと。

濃い場所はというと、たとえば原発事故が起きた場所がそうです。思い出して下さい。わずか5年前のことです。
「事故直後の現場には、放射能が強く出ています」
「ただ今、高濃度のため半径5Km内には近づけません」
「汚染が拡大しています」
「線量の半減期は、数ヶ月、数十年、物によっては数万年」
「西寄りの風で太平洋に汚染が拡がっています」
「ただちに人体に影響があるということはない」

当時、私たちは異口同音につぶやいたものです。
「ただちに人体に影響が出ないということは、徐々に人体に影響が出るということ?」
「専門家が近づけない場所に、誰か近づける人っているの?」
この時の?マークは、疑問ではなく不安を表わしていました。こういう国家レベルの事件が起きたとき、たとえば戦争、たとえば原発事故、たとえば国家間の取り引き(密約)、こういったときは必ず情報が少なくなります。出来事が【濃い】ほど、情報は【薄く】なっていくのです。それは世界中の人が経験していることです。どうしてそうなるのでしょう?すべて人災だからです。

薄い時間とは、たとえばそれぞれの人生のことです。
☆生まれた日が違う→生まれた場所も違う→育った環境も違う→経験することも違う→それを心にどう刻むかも違う→そして亡くなる日も違う。
濃い時間とは、国家レベルの事件のことです。
★たくさんの人生たちが、同じ経験をさせられる→違う日に生まれたのに、同じ日に亡くなる→残された人は、遺族という同じ境遇にさせられる。

フィンランドでは、原発で生じたゴミ、核廃棄物を地下深くに埋めるために毎日のように穴を掘っています。10万年後まで封じ込める計画だそうです。それほどの時間をかけないと、放射能が無くならないからです。気の遠くなるような話ですが、ここで気を失わないで下さいね。続きがあるんですから。

核のゴミの地下貯蔵施設を示す、表示板のことで問題が起きているんです。危険を表示するのに、どんな言語がいいか、それとも単なるマークだけの方がいいのか。つまり、
•10万年は長い、その間フィンランド語が大変化をしたり消滅しているかもしれない。
•マークだと、果たして未来の人が正しく理解できるのか?誤解しないだろうか。
•たとえば3万年後とか5万年後に、読めない字や不思議なマークを勘違いしたら?
•エジプトやメソポタミアのような古代遺跡と思い、発掘調査を始めたとしたら?
•放射能がまだ無くなっていない時に開ければ、被曝する。

NHKのBS1で1度、渋谷の映画館でも観たドキュメンタリーです。学者や専門家が真剣に悩んでいる姿は、笑い飛ばしたいのにそれができないという、奇妙な疲労を私に与えました。火力•水力•潮力•風力•地熱•太陽光発電が束になったとしても、たった一ヶ所の原子力発電にはかないません。濃縮ウランやプルトニウムとは、人が造った最も濃厚なものです。手間ひまかけて発電するという薄い淡い時間に対して、核分裂で一瞬に熱量を出す原発ほど濃い時間はありません。人工の濃い時間たちでできている核廃棄物は、やがては薄くなるでしょう。やがてとは、薄い淡い時間たち数万年分だということです。

それが、時間の回収です。何がそうさせるのでしょう?自然の時間は薄くて淡く、人工の時間は不自然で濃いと知っている【純粋時間】が、そうします。そしてさらに【純粋時間】は、もう一つの作業を行います。人間のエゴの回収です。 ~次回に~

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